2023年10月28日土曜日

高齢者の運動指導にも目を向けよう! 「スマート・エイジング・プラザ」の提案

 寺岡記念病院 高齢者健康医学センター

顧問 宮下 充正


趣旨

私たちが経験したことのない超高齢社会は、国家、自治体、家庭、高齢者自身にさまざまな困難をもたらしている。例えば、令和3年度の75歳以上の高齢者一人当たり医療費が、75歳未満の23.5万円に対して3倍以上の93.9万(前年比+2%)とか、医療費総額は44.2兆円(前年度比+4.6%)とか、経済的な側面においてだれがどのように負担するのかといった深刻な問題を人々に与えている。

この解決策として、厚生労働省は「地域包括ケアシステム」を提唱している。このシステムは、保険者である市町村、都道府県が地域の自主性や主体性に基づき、地域に応じて作り上げていくことが必要と述べられている。その中で、いつでも元気な暮らすために生活支援・介護予防を行う組織例として、老人クラブ、自治会、ボランティア、NPO等が挙げられている。しかし、高齢者を一括して対象としているため、いろいろな境遇にあるそれぞれの高齢者がどのように行動すれば望ましいのか、具体的な方策が示されていない。

 

高齢者を限定した提案

すでに入院治療を受けている場合を除けば、所有する資産の多寡によって、高齢者の生活する環境は下記のように、大きく3つに分類される。

①  医療・介護が充実した有料老人施設で過ごす

②  うまく入居できれば、特別養護老人ホームで過ごす

③  入居先がなければ自宅で過ごす

3番目の自宅で暮らす高齢者は、例えば80歳代の夫婦のどちらかが介護する、あるいは、90歳代の親を同居する70歳代の子どもが介護する、といった老老介護と呼ばれる例が挙げられる。これら場合、厄介者として介護者に殺されるといった事件が頻繁に発生している。あるいは、一人暮らしの高齢者が、孤独死して数日後発見される事例が多くみられる。ちなみに、資産や身寄りがなく死亡した人数は令和3年で5万を超え、葬儀への公費負担が110億円であったと報じられている。

このような境遇にある高齢者たちを見逃さず、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間と定義される「健康寿命」をできるだけ先に延ばし、幸せに死に至るための具体的な方策を提案したい。

地方自治体が支援してあげるのではなく、高齢者自身が主体となって小さな集団(10名程度)を結成して、それぞれに協力し合って「健康寿命」の延伸を図るのが出発点となるべきである。もちろん、自治体からの支援は必要であるが、集団の管理・運営には地域に住む元気な高齢者が当たるというように自主性が求められるといいたい。

 

施設の概要

高齢者の人口増加がもたらす経済的問題に直接かかわるのは、保険者である自治体の首長と健康・福祉の部門の職員たちである。したがって、集団は、自治体の力を借りて、居住する近くに空いた空間(空き家、使われない学校の部屋)を改修し借り受ける。あるいは、公園等の空き地に小屋を新築する。

これを「スマート・エイジング・プラザ」と名づけ、1つの集団が1日に2~3時間占有し運動、会話などさまざまな交流を行う。1つのプラザを、1日に3~4組の集団が利用し、1週間に3~5日借用するとすれば、最大に見積もると1週間に20組の集団、人数にして約200名の高齢者が交流し合うことができる。

 

エクササイズ

参加する高齢者が「健康寿命」の延伸するのがプラザの目標であるから、効果が上がるエクササイズの実践が主たる活動内容である。下記のようなエクササイズ・プログラムを実行し、一定期間継続すれば効果が期待される事実は、多くの疫学的調査、あるいは、介入実験などの科学的研究成果が明らかにしている。そのため、知識と経験のある健康運動指導士(者)の役割が不可欠であるといいたい。

 

1.“力強さ”を保持・改善するエクササイズ

力強さの保持・改善のためには、筋肉に負荷を与えて行うレジスタンス・エクササイズがよい。この種のエクサイズは、短時間の実践でも1週間に2~3日行えば効果が得られる。

 

①脚・腰を中心とした下肢の筋肉をはたらかせるには、腰、膝関節をやや曲げたかがんだ姿勢からの立ち上がり(スクワット)、あるいは、腰かけから立ち上がる運動が有効である。

例えば、腰かけに浅く腰を下ろし、胸の前で両手を組みやや速く立ち上がり、ややゆっくり腰を降ろす。1回の反復は約3秒かかるから10回反復で30秒間である。20回反復しても1分間で終わる。反復する回数を分けてもよいから1日に合計100回反復する。自分の能力に応じてできる回数から始め、疲れたら休息し反復する。しだいに連続してできるようになるから、とにかく1日に合計100回反復するのを目標とする。

 

         



 

②肩、上肢の筋肉をはたらかせるには、腕立て伏せ(プッシュアップ)が有効である。台の上に両手を置き、腕を曲げた状態からやや速く伸ばす、腕が伸びきった状態からゆっくり肘を曲げながら元に戻す。時間は反復で約3秒間かかるから、時間を分けて1日に40回反復する。運動の強さは、両手を置く台の高さがテーブル、椅子、床と、低くなれば強くなるので、自分の筋力に合わせた高さの台を選択する。最初は40回連続してできないだろうから休みを入れて何度かに分けて40回実施する。


       

③体幹(腹筋)をはたらかせるには、上体起こし(シットアップ)が有効である。仰臥姿勢をとり、両ひざを曲げて足部分を固定し、腕を胸の前で組んで上体をやや速く起こし、ゆっくり元に戻す。時間は約3秒間かかるから、10回反復する。時間を分けて1日に4セット行う。弱い人は、最初上体を床から上がらなくても上げようと腹部の筋肉に力を入れるだけでもよい。軽く上げられる場合は、ペットボトルに水を入れて両手で持つか、重いものを持ち、筋力がついてきたら重量を増やす。足先が固定された方やりやすいので、2人で交代に足部分を抑えてやる。とにかく、1日に合計40回反復するのを目標とする。

       


(レジスタンス・エクササイズ用の新しい機器は今仙電機製作所が開発中)

 

2.“ねばり強さ”を保持・改善するエクササイズ

ねばり強さの保持、改善のためには、腰や脚の大きな筋肉を、1日に低い強さで20~30分間活動させる。1週間に5日行えば十分効果は上がる。自宅とプラザまでの距離が適当であれば、往復を歩くか走れば十分である。とにかく、歩く、走るなどの反復運動が勧められる。

狭いプラザ内では、音楽(聞き覚えのある歌)のリズムに合わせて、ステップ・エクササイズを行う。“ややきつい”と感じる程度の速いテンポのステップを混ぜると効果が上がる。プラザの近くに安全に歩きやすい道があれば、天候のよい日に歩いて往復する。その際、歩く能力に合わせて、距離のわかる標識を100mごとに置き、自分が歩いた距離を確認する。


 

プラザの運営

緊急事態に備えて、医療機関との連携を取り決めておく。市町村、都道府県の関連職員と集団の代表が定期的に集まって、利用日、時間、内部施設の見直し、などを相談する。また、会費の徴収についても、検討すべきである。

とにかく実現可能な簡素な施設、設備でよいから、まだまだ深刻化する超高齢社会を乗り切るためにみんなで積極的に取り組むことが急がれるのである。

























2023年10月3日火曜日

素戔嗚プロジェクトの活動報告:フレイルの真髄と予防について

 センター長・脳神経外科顧問 森田明夫

やっと暑さが下火になり過ごしやすい日々がやってまいりました。暑くて熱中症予防で外に出るな!と言われてましたが、やっと散歩の季節となりました。ぜひ一日7000歩を目指して頑張りましょう。(できれば週2回は最低でも)
    
さて素戔嗚プロジェクトも開始して半年が過ぎましたが、なかなか実体が伴ってきておりませんが、なんとか少しずつでも地域の役に立てるよう頑張ってゆきたいと思います。9月前後の活動をまとめたいと思います。
    
1.    Walking eventの開催
8月30日にこれまで何度か紹介してまいりました板橋千代美先生のwalkingクラスを開催いたしました。25名ほどの参加がございました。今回は通常の靴の履き方からしっかりとしたwalkingのスタイルの紹介のほかに、口腔機能の維持のために「あ い う べェ」発語体操を教えてくださいました。(図1) これは新市で行なっている介護予防の健康教室で口腔ケアの先生方が指導されていた内容と同じです。口を大きく使って「あ い う べェ」と発音 べェのときは舌を思いっきり前に出します。これを10回1日3セットすれば、口の機能は向上・維持されるというものです。以前お勧めした大声での朗読も良いですが、こちらのあいうべ体操はお風呂でもできます。また板橋さんは下記のような歌も紹介してくれました。なるべく早口でリズムをつけて5回くらい繰り返して歌います。
「ベラベラ ボンボン ベラボン ベラボン カラコン カラコン カラカラコン
タラタラ トントン タラトン タラトン ブリブリ バンバン ボンボンボン」
これで唇、舌先、舌元をうまく動かすことができます。

図1:あいうべ体操


2.    医療講演会の開催
また9月4日(月)には前回も紹介いたしました地域の医師・医療者向けに「認知症と地域医療を考える会」として山口県立総合医療センター へき地医療支援部の原田昌範先生 三重大学特定教授・脳ドック学会理事長の冨本秀和先生においでいただき、講演会を開催させていただきました。地元の先生方100名超に現地及びWebでご参加いただきました。原田先生はへき地医療をITを駆使したオンライン訪問診療、クラウドを用いたカルテの共有化も進め実施されており、ぜひこの地区でも活用したい技術を紹介いただきました。冨本先生は先生がこれまで関わられてきた認知症医療について、及び今回新たに承認となった抗認知症薬(タウ蛋白抗体)であるレカネマブの機序、効果、注意点などの詳細を説明いただきました。脳梗塞、微小出血既往のある患者、tPA投与後の患者さんとかは出血などをきたす可能性があるということで注意が必要とのことでした。

図2:講演会後の集合写真

3.    今仙電気 研究開発拠点訪問
その後9月13日ですが、当センター顧問の宮下充正先生からご紹介いただいた自動車のシートなどの部品を作られている今仙電気の犬山にある開発センターを訪問させていただきました。今仙電気は本業の技術力を活かして100歳まで元気で歩けるための補助活動を社会貢献としてされており、車椅子や歩行補助ロボット、また歩行を向上するための様々な取り組みを紹介していただきました。特に現在開発中の椅子側を動かすレッグプレス機や歩様の画像解析は非常に進歩していて画期的なアイデアと技術を活かしていると感じました。もともと自動車のシートのアジャスターを作られているので、シートを移動させる装置の開発はお手のもので、それの負荷をかけて、大腿に負荷をかけられるようになっています。足板を押すタイプよりも膝への負荷が少なく安全性が高い装置になると確信しました。自宅にあれば良い運動にもなるので、スペースがあれば欲しいくらいです。新市の交流施設に試験的に配備していただけるように相談を進めています。また歩様の画像測定機器はいろいろなexpoにも出展されており、私の古巣のリハビリの教授に相談して活用法を検討してもらっています。また当院でも今月デモをしていただき、当院のリハビリスタッフにも活用法やどのように広めて行くかなど検討したいと思っています。その他膝の伸展や回旋を計測・訓練する機器なども構築されておりました。
もともと私は城とかローカルグルメとか大好きですので、初めて国宝犬山城を訪れることができました。日本に5つしかない現存の国宝天守を持つ城です(他は姫路、松本、彦根、松江、現存は12ヶ所あるそうです)またお昼もボリューミーな味噌カツをご馳走になりました。またその足で韓国と日本の脳卒中外科の合同学会に出席し、岐阜城(稲葉山城)も見てきました。金華山は非常に険しくて、タクシーでは城まで行けずロープウエイで行く必要があります。帰りくらい歩いて降りて見ようと思いトライしましたが、難所につぐ難所で手で地面に支えて降りていかないと行けないような岩場もあって、標高300mほどなのですが、降りるのに1時間半ほどかかりました。これはこの城は難攻不落だったろうなと 斎藤義龍・龍興と織田信長の戦に思いを馳せることもできました。韓国の懐かしい先生方とも久しぶりに対面でお会いすることができました。

図3:今仙電機の歩行訓練の取り組み

図4:犬山城

図5:岐阜城


4.    飯島勝矢先生公開講座 フレイル・オーラルフレイル予防
最後に10/1に東京大学未来ビジョン研究センター教授・高齢者社会総合研究機構 機構長の飯島勝矢先生に福山までおいでいただきビッグローズで1時間半にわたる市民公開講座を開催していただきました。非常に大きな声で滑舌が良い先生でわかりやすくフレイルの概念とそれを防ぐ・改善するためにどうしたら良いのかを根拠!を含めて説明し、先生の活動を紹介していただきました。
先生が伝えたいと思われたメッセージは以下のようなものと思います。
まずフィーリングではなく根拠に基づいて、しっかりとフレイルを知って欲しいということ。
その上でフレイルの概念の3つ大切なことは、
1)フレイルは正常と要介護の間の状況であり、まだ戻せる状態であるということ。すなわち回復可能な状況であるということ。
2)多面的な側面(特に心・認知、身体・筋力、そして社会活動)からなっているということ。
3)また老いはゆっくり始まるが、フレイルからはかなりのスピードで悪化するということです。
またその概念を唱える上でサルコペニア(筋肉減少)という概念はよくしっておく必要があります。筋肉は高齢者では年1%ずつ(18歳から)減少していること。寝たきりになると1日で0.5~1%筋肉減少2週間で7年分の筋力減少してしまうこと。高齢者が検査入院や避難所に数週間いるのは、甚だしい筋力低下を来たすことを強調されました。

図6:フレイルとサルコペニア

 

そして3つの大切な予防法として最初には下記の3つを示してくれました。
1)    しっかり噛んで、しっかり食べること
2)    体を動かすこと。1日7000歩を目指して
3)    筋肉特に大腿の筋肉を保つ、作ることが必要 (歩行では大腿筋はつかない)

食べることに関しては、なにが大事かというと
タンパク質を摂ることが大事!というのはよく言われることですが、では何gのタンパクを取れば良いのか?ステーキなら何g食べれば良いのか?と直感でわからないといけない
飯島先生曰く 体重1kgあたり毎日1gのタンパクが筋肉維持には必要。フレイルの状況からだと1.2~1.5gぐらいの蛋白が必要となる。すなわち60kgならフレイルを脱却するには一日80~90gの蛋白質をとる必要がある。
それは牛肉でもなんの肉でも100gに20g(20%)くらいしかタンパクはありません。すなわち牛肉だけで蛋白を80g取ろうとすると「なんとステーキ400g!」も必要になるのです。
それと蛋白を体に同化するには活性型Vitamin Dが必要です。Vitamin Dは日に当たらないと活性化しませんので、時たま陽に当たることも重要です。またVitamin Dは魚、きのこ、卵、豆類などに豊富です。
食事に関してはそれと、多くのカロリーをしっかり摂ること。それと多様な食品(偏らず)を摂ることが大事ということ。以下の4項目が重要となります。
1)総エネルギー量、 2)蛋白質、 3)食品多様性、 4)ビタミンD
「さあにぎやかにいただく」を合言葉にいろいろなものを食べましょう。65歳を過ぎたら、メタボよりもフレイルを気にすることのほうが大事とのことです。

図7:食事の4重要ポイント

 

またフレイルの簡単チェック項目として4つの漫画を示されました。
1)    横断歩道! 高齢者になると信号が青の間に横断歩道を渡りきれなくなる。改善するためにはただ大股に歩けば良いのではなく、腕を後ろによく振ること。後ろに振ることで自然と歩幅が大きくなります。
2)    階段。階段を登れるか?歩行は基本下腿・ふくらはぎの筋肉でされるが、フレイルでもっとも大事なのは大腿の筋肉を維持すること。最低1日1回は階段を使って上がる。またはスクアットをする。または、椅子に座る前人拳分くらい中腰になって10秒 これを1日10回すれば少しは太ももの筋力強化になります。
3)    ペットボトル(特に炭酸の)を蓋を開けられるか?
4)    指で紙をつまめ維持できるか?
3)、4)は足の筋力とは関係ないですが、こちらが弱ければ足もまた滑舌も悪くなり、誤嚥などをきたしやすくなるとのこと。
手の筋力トレーニングは以前も紹介しましたが手うちわとグーパー運動が効果的とのことです。

図8:フレイルチェック


またオーラルフレイルの項目として
①歯の数が20本より少ない ②噛む力が弱い(たくあんやサキイカを食べれない) ③汁物でむせる。食べこぼす。 ④口が乾く・口臭がある ⑤滑舌が悪い
のうち2項目以上あるとオーラルレイルの特徴だそうです。

口のトレーニングは先に板橋さんの紹介にもありましたが、ぱ!た!か!ら! としっかり言えるように。早口で練習。「あ・い・う・べ体操」も効果的です。

図9:オーラルフレイル

最後に先生からは、先生が出演された 「ためしてガッテン」(ちなみにかくいう私もずいぶん昔に未破裂脳動脈瘤の話題で出演したこともあります:未破裂脳動脈瘤の治療は自分で決める!)で番組プロデューサーとの打あわせで先生の地域住民調査をデータ出すことになった。地域住民5万人弱を調査した大規模な研究で、身体活動(週2回以上の30分以上の運動)、文化活動、ボランティア・地域活動の3つのうちどれかしているかという質問に対して、すべて○の人に足して何もしていない人はフレイルリスクが16倍だったそうです。
また運動習慣のない人は2倍だったの対して、文化活動や地位活動をしない人は6倍のリスクだったとのこと。すなわち運動よりもむしろ文化活動や地域活動をしている方がフレイルにはなりにくい。「もう2000歩 歩くか?」よりも「誰と歩くか?」「誰と一緒にいるか?」の方が大事!!とのことです。
これのような活動熱量をNeatというそうです。Non-exercise activity thermogenesisの略です。日常人との交流をしたり、料理したり、ちょこちょこ動くことが大事とのことです。また先生の全国でのフレイルサポートの活動も紹介していただきました。

図10:フレイル予防3本柱  

図11:飯島先生は滑舌が良い


5. 雑談
    さて今月は大変いそがしい月でした。上記のような活動のほかに、プラハで私の関わっている世界脳神経外科学会連合の会議が突如対面で開催されたため、土日弾丸で1.5泊4日でプラハに出張。その後月末にはバルセロナでヨーロッパ脳外科学会、直後に長崎で脳腫瘍の外科学会(昨年の学会の会長だったので報告義務あり)でほぼ海外と広島を行ったり来たりでした。ですのでチキンのソテーは先月は作れていません。バルセロナでは1日観光できたので、ガウディの公園やサグラダファミリアなども見学できましたが、何か人間の体の中を表現しているな と感じました。サグラダファミリアの中は外側の土色とうって変わって色とりどりなステンドグラスで色鮮やかなのですが、柱がまるで心臓の弁を支える腱索の様でした。パエリヤやサングリア、タパス、ピンチョスなどスペインのレストランでの食事・酒のつまみもおいしかったのですが、一番よかったのは、市場で買ってきた惣菜(いわしのマリネ、アンチョビローブ漬け、イベリコハム、エビとイカ墨のコロッケ、パン、缶詰)などが地元のワインと最高でした。長崎は何としてもちゃんぽんですが、米国留学中に日本食に飢えていたところ、2年後にMayoにやってきた長崎出身の植木敬介先生(同級生です。奥様はテレビによく出演される植木千可子早稲田大学教授です)が地元から持ってきた半生ちゃんぽんが驚異的美味しかったのを覚えているのですが、それを長崎駅で見つけて購入し早速自宅で作りました。お店以上に!?美味しかったです。

図12:WFNS ACメンバーとプラハ

図13:サグラダファミリアにて

図14:スペインの食事

図15:ちゃんぽんいろいろ

2023年9月1日金曜日

スマートフォンの功罪

  センター長・脳神経外科顧問 森田明夫


早いものでこちらに赴任させていただいて半年が過ぎようとしております。今回が6回目のブログです。今回はやや自分にも皆さんにも耳が痛い話です。ぜひともお話ししておきたいエピソードがあります。

先日NetFlixを見ていたら超昔の孤独のグルメをやっていて、私の東京の地元の駒込が取材地でした。2012年1月放送開始とありますから12年くらい前でしょうか?すでにそのお店は閉店しています。出演者がよくタバコを吸うのが気になりましたが、その時に脇役で出ていたTKO(問題を起こしてほぼテレビなどに出なくなりましたが)の木下さんが電話でガラケーを使っていました。その頃は携帯電話はほぼ電話だけだったのかな?とはたと自分のこともわからなくなりました。

エピソードというのは、2002年のことです。松本で日本脳神経外科学会の総会が開催され、そこに私もまた信州大学の先生方もお世話になったMayo Clinicの主任教授のDavid G Piepgras先生という先生がゲストで招かれていらっしゃいました。晩にお食事を一緒にということになり、近くの焼肉店に出かけました。そこで卓についたところで、信州大学の教室員がガラケーを出して仲間に電話をし出したんです。それも数名が同時に。それを見たPiepgras先生、お店を出て行かれてしまいました。

先生曰く「うちでは食事中に電話は禁止なんだ!」食事は家族が仲間が集って話す場であり、電話をしているということは、別の人と繋がって、家族や仲間から離れているということで、これほど失礼なことはない! 

今の状況はどうでしょうか?それよりもっと酷いです。日本での食事の風景を見ると自分の家でも息子や娘と食事することもたまにありますが、好き勝手にスマホをいじっていろいろそっちに集中して、せっかく月1回くらいであったのに話はそこそこで自分の世界へ行ってしまっています。自分もどうかというと、思い起こすと随分と人を無視してスマホを使っていたような気がします。最近は極力、スマホは人との会話や食事中は避けるようにしていますが、かなり失礼なことをしていたように思います。スマホを見ている時は自分の世界にいて、食事の席や会話の席から遊離しているのです!あのような松本のエピソードがあったのに。実はそのことを思い出したのは、4月に米国LAで友人とその知人のチリの初対面の先生と私が食事に行ったのですが、私が選んだレストランが星は高かったのですが、実はベジタリアンのメキシカンという超変わり種レストランだったのです。チリの先生はお肉が大好きだったらしく、その食事の場で、その友人もチリの先生もスマホばかりを見ていて、ほぼ会話が途切れ途切れだったのです。私は変なレストランを選んだ私が悪いとも思いましたが、非常に不快でした。レストラン選びを失敗した自分にも、スマホいじりの仲間にもです。その時にあのPiepgras先生の言葉を思い出したのです。あの時、松本ではそんなに深く感じなかったのですかね。愚かです。今でも会話中に何かかわった情報や、知らない情報があると調べるためにスマホを出して調べてしまいますが、その時は一応相手がいたらお断りしてスマホを出すように心がけています。

その目で通勤・宴会や食事風景を見るようになると、日本では宴会や食事最中のスマホ見放題は大きく許容され横行しているようです。食事のテーブルを見ると半分以上のテーブルで会話から外れてスマホに見入っている人がいます。電車やバスでも乗っている乗客を見ると8割方はスマホに見入っていて、外に興味があるのは小さな子供と運転手!さんくらいでしょか?新聞や文庫本さえ最近は読んでいる人はおらずほぼ皆さんゲームでしょうか?まだKindleで小説や日経電子版でも読んでいてくれると良いのですが、、、

一方の欧米では先ほどのチリの先生は別格ですが、欧米で食事中にスマホを出している人をほぼ見かけません。スエーデンのレストランで全席見渡せる席から確認しましたが、スマホ出しているのは写真とっている人だけで、会話から離れている人はほぼいないのです。

これは何の違いでしょうか?特に日本人だからでしょうか?文化の違いでしょうか?欧米人は本当によく喋ります。よくこんなに喋ることがあるな〜〜と感心するくらいです。日本人の「黙って男はサッポロビール」の気性ですかね。だからって別の世界に行くのは話が違います。

日本でもスマホ決済やスイカ、交通ICにスマホやスマートウォッチを使っている人が多くなりましたね。先日紹介したフィンランドなどほぼ全てがスマホか電波模様のついたクレジットカード決済で何もかもがアプリで運用されます。電気自動車の充電スタンドも公道にたくさんレンタルが置いてある電動キックボードの使用も全てスマホアプリ決済です。お店でも現金を出している人はほぼ見かけません。なのでお金も綺麗ですね。スイスの紙幣などパリパリしています。一方でインドやトルコはまだまだで紙幣がボロボロ。でも5年10年後には日本が最も遅れた国になるかもしれませんね。スマートフォンは非常に便利で、すぐにわからないことも調べられるし、全ての連絡先も入っているし、コンピュータと繋がっていて文書だって引き出せる。もしスマホを無くすと人格さえなくしてしまった様に感じるくらいです。で、自分の世界(宇宙)もそこに入っていて、せっかく友人や家族と一緒にいるのに、そちらの宇宙に没入してしまうというわけです。

でも人とのコミュニケーションがせっかく対面でできる時には、ぜひその時間を大切にしましょう。人と話すこと。人の感情を感じること。人の考えを知ることはとても自分のためにもなるし、せっかくの時間を無駄にしないようにしましょう。

 

さて今月の雑談・お料理ですが、最近NefFlixで韓国ドラマのあまり面白いのがないので小林薫さんの出ている深夜食堂と松重さんの孤独のグルメをNHK Newsで和久田さんの番組が終わったら見ています。そこで出てきた食事を少し真似て作ったりしています。たらこ半生焼きとか赤ウインナーのタコちゃん焼きとかです。でも新宿ゴールデン街に本当にとん汁とご飯だけ(あとはできればなんでも作る)のお店があったらいいな〜〜と思います。今回Istanbulではあまり食事は楽しめませんでした。以前行った時は、黒海で採れたてのでっかいヒラメを塩焼きしてくれて、また豊富なオリーブやスパイスの料理がとても美味しかったのですが、、年齢いくと食事は日本食が良いです。

 

写真は日本の風景(最近行った小豆島、能登の写真)と食事

イスタンブールの風景(アジアとヨーロッパの梯です)と食事の写真です。





素戔嗚プロジェクトとしては、7月ですが、末に光の丘病院で馬屋原院長と石岡認知症センター長と認知症ケアの包括対策と予防などについてお話しをしてきました。8月末には第3回目の板橋千代美さんのWalkingのクラスを開催しました。また、9月第1週には脳ドック学会理事長、認知症薬認可の厚生労働省薬事委員でもいらっしゃる冨本秀和先生、山口でへき地医療の管理を行っている原田昌範先生にきていただいて医療者を対象とした講演会。10月1日には東京大学の飯島勝矢先生に来ていただいて市民公開講座を企画しています。脳の活性化、フレイル予防のためのことを先生の最新の研究成果も含めてお話しいただきます。

参加希望の方は事務局にご連絡ください。


2023年8月1日火曜日

メリハリのある人生を:SWISS & FINLANDから。

 センター長・脳神経外科顧問 森田明夫

前回のブログで少し紹介しましたが、6月に脳動脈瘤の国際共同研究をしているスイスのジュネーブ大学とフィンランドのタンペレ大学を訪問してきましたので、ご報告させていただきます。あまりに暑っっつい日が続いていますので、ちょっと涼しげな話。

第1話(スイスのこと):

さてまず6月の第1週にSwissのGeneveにあるジュネーブ大学(Geneve University Hospital: HUG)を訪問しました。ここの脳外科の長のKarl Schaller教授は私が米国のMayo Clinicに留学していた時にドイツの医学生で見学に来てくれたnice guyです。10年前に一度大学に講演で読んでもらったツテで、その時に彼のAssistant professorのPhilippe Bijilenga先生が動脈瘤を中心に研究をしているといので、共同研究に繋がりました。何を共同研究しているかというと、Bijilenga先生を中心としたグループは脳動脈瘤の巨大なデータベースをヨーロッパや米国を中心に作っていてその中の報告の一環にスイス人のくも膜下出血発症率を報告しており(SWISS SOS研究)それによると、スイス人のくも膜下出血発症率は10万人人口にたいして年間3.7人の発症ということです。これは実に日本の4分の1以下(日本は10万人対20人発症です)なのです。何か生活習慣や食生活、体内の菌叢に差異があるのではないか?それをサーチするというのがこの研究の主目的です。当然遺伝的な背景の違いなどもあるはずなのですが、これまでに明らかな遺伝学的な相違は検出されていないのです。思いつくことから言えば、例えば乳製品の摂取量がかなり異なる(スイス人はご飯のあと、これでもかというほどチーズを食べまくります)とか、生き方が違うとか(のんびりしてる)、、です。

まずスイスの紹介ですが、人口は800万人(横浜市くらい)で九州と同じくらいの国土に住んでいます。大都市はジュネーブ、チューリッヒなどで首都は両都市の中間にあるベルンという街です。ご存知のように永世中立国で、銀行業、観光名所、スイス時計などが有名ですが、国力を増すために科学には国家予算をたくさん投入して研究を後押ししています。特におおきな研究はCERNという素粒子研究施設・核融合研究施設がジュネーブの地下にあって、直径9kmの加速器がフランスとの国境を跨いで湖の下にまで建設されているそうです。日本からも多くの科学者がこの地で研究しているとのことです。次にジュネーブ大学病院の紹介ですが、1000床規模の日本でいえば大きな病院の一つですが、大都市には一つの大学病院しかないので、どこの大学病院も非常に忙しくたくさんの症例をこなしています。ジュネーブ大学脳神経外科も救急から高度な手術までを年間2000件くらいの手術をこなしています。


脳外科の研修はヨーロッパの各地から言葉さえ話せれば研修に来れます。むしろヨーロッパでは一ヶ所の施設で研修を終了することはできず必ず1-2年は他の大学施設(ヨーロッパでは大学でのみ脳神経外科研修が行われます)での研修が必須となるとのことです。ちなみにジュネーブはフランスに近くフランス語圏ですが、ドイツに近いところはドイツ語圏、イタリアに近いところはイタリア語圏となります。自然とみな英語はもちろんその3カ国の言葉は話せるし、脳外科のレジデント(専攻医:専門認定前の医師)とも飲み会をしたのですが、それぞれ出身はクロアチア、イタリア、フランス。スイス、ドイツと、、本当にヨーロッパ全てから来ていました。


K Schaller教授は非常に脳科学に興味があって、脳の深層科学の研究をしており、いかに人間の脳が心臓と繋がっているかとか、心臓が止まっている時の脳の活動などを心臓外科医と共に研究しています。まあ、驚くと心臓がドキッとしますし、恋でもするとドキドキ、、なんていろいろな感情はただ単にカテコラミンの放出だけではない神経と心臓連関からなりなっているのでしょう。そのほか仮想現実の技術を手術に活かすための開発、研修医や学生の教育のためにビルを病院の一画に建設して、全て研究ができる施設などを作っています。

「あの学生だったKarlがな〜〜」と、感慨深いものがあります。また彼は家をいくつか所有していて、モントルーというところにお城みたいな家を一つ。ジュネーブでは一等地のレマン湖の噴水の目の前のアパートの1フロア(小さい住処と言ってましたが、私の自宅の3倍はありました=1フロアで)を所有し、地下には駐車場にポルシェやらベンツやら、、何台も彼のすごい車が置いてありました。要は仕事も充実、経済的余裕はもちろんとのことです。ところで、5時くらいに終業したのち何をするかというと、研修医以外の医師はほとんどがボート(4〜6名乗りくらいのモーターボートです)を所有しており、夕方になると湖に繰り出します。そして湖沿いのレストランで食事というわけです。日本にもボートやクルザー、飛行機なども所有している脳神経外科医や医師もいらっしゃるのかもしれませんが、臨床や科学的にこれほどの実績を上げながら、経済も豊か、、というのはなかなか腑に落ちません。私もお相伴に預かって、毎日打ち合わせ(いろいろ細菌の学者や、カンファランスで勉強したのち)が終わった後は、ボートでワイン、その後食事という具合の1週間でした。



ちなみに週末には首都のベルンに行き街並みを堪能してきました。ベルンはスイスなのでもちろん空襲されていないので、古い街並みが旧市街に残っており、ところどころに噴水と水道があって、とても美しい街でした。アインシュタインが住んでいて世の中を変える論文をいくつ執筆した街でもあります。ドイツ圏に近くビールも美味しいです。



私はあまりボートの乗り降りは慣れていませんので、港について飛び移れなどと言われても、、海の男じゃあるまいし、と思っていたら、ブレーザーをきてリュックを背負ったまま、レマン湖にジャブンと落ちるなんていうこともありました。身体中びしょびしょになって靴はグチュグチュお恥ずかしく大変なエピソードだったのですが、、何に感動したかって、Tumiのリュックには水が一滴も入ってなかったことで、コンピューターが救われました。やはり品質って大事だと思いました。チャックポケットに入っていた馬券は濡れてしまいましたが、、(乾かして一応ごくわずか当たっていた馬券は換金できました!)

 

第2話(フィンランドのこと):

そんなこんな人生の違いを見せつけられて、モヤモヤしているうちに次の週はフィンランドのタンペレ大学に2週間ほどお邪魔しました。

フィンランドはなんと言っても広い!と思ったら地図の錯覚(地図では北の方の国は大きく見えます)で、今度は日本から九州を引いた大きさだそうです。人口はさらに少なく550万人ほど(埼玉県より少ないです。北海道と同じくらい)だそうです。長い国境をロシアと接していて、大変だろうなと思いますが、今は感情が複雑だそうです。フィンランドはもともと大国のスエーデンとロシアに挟まれていて、スエーデンを破ったロシアのアレキサンドル2世国王の時にフィンランドはスエーデンの過酷な支配から逃れて、自治を進めてくれたので、国ができたという経緯があって、そのロシアのアレキサンドル2世国王はフィンランド人にとっては大恩のある英雄であり、ヘルシンキのシンボルである大聖堂の前に大きな銅像が立っていますし、大聖堂の斜向かいには大きなロシア教会もあるのです。また今回の戦争前はロシアが一番の輸出国だったそうで、非常に今は経済的に苦しいと言ってました。以前はNOKIAという携帯で一世を風靡した企業が儲けてくれていたようですが、今はiPhoneや韓国のGALAXYに押されて厳しいそうです。あとは林業と漁業と観光ということになります。もちろん福祉は充実しており、私がリタイア後の年金の少なさを嘆いていたら、超驚かれました。でもその分若いうちにはしっかり税金を取られます。GDPの40%が税収になっているそうです。タクシーの運転手に聞いたら、スピード違反の罰金も収入に応じて違うらしく、億万長者が先日20kmオーバーで200万円以上罰金取られたという話をしていました。でもいずれにしても誰でも過不足なく暮らせるので、非常に犯罪の少ない国で、とても街中も安全です。どこへ行っても緩やかな空気が流れている気がします。


さてなぜフィンランドと共同研究かというと、この国には昔から脳動脈瘤の壁の研究をしているJuhana Frösen教授という若手の教授がいること。それとフィンランドは以前日本よりくも膜下出血の頻度が多かったのですが、現在急激に減少して欧米と同じレベル(10万人対5人くらい)になっており、その経緯が何によるものかも興味があったからです。Frösen教授はまだ40代で、私が注目していた動脈瘤壁の有名な2004年に発表された論文は、実は学生時代に書いたというから驚きです。さて件のくも膜下出血の頻度の減少ですが、実はもともとの統計の対象が、戦後の非常に荒れた生活をしている人たちを中心とした研究であって、その人たちはタバコやお酒の量が多く自堕落な生活をしていた人が多かった。だから戦後の一部の集団の統計なのだと説明を受けました。今の普通の健康的な生活をしている人たちのくも膜下出血発症率はお普通の欧米人と変わらないとのことでした。その中で、何が最も発症リスクを変えたのかに興味があります。日本人が皆荒れた生活をしているからくも膜下出血が多いとは、とても思えませんので。

またFinlandがすごいのは、病院外で亡くなった全死亡例も全て剖検を受けることになっていて、その死体が全てタンペレ大学に運ばれてくるとのことです。タンペレ大学は剖検を一手に引き受けているそうです。そこで解剖や手術の研修も受けられるようになっています。今回いくつかの手術方法を教授してきました。

5つの大きな大学病院が国内大都市にあって、そこだけが脳神経外科をしているので、脳外科は1大学100万人対象となるので、どこも大忙しだそうです。ただ現在看護師の給与が安くて成り手がいなくなって、医療危機に面しているとのことでした。

フィンランドには動脈瘤と感染のプロがたくさんいますので、彼らとの意見交換は素晴らしい時間でした。




タンペレはヘルシンキから車で2時間位北に行ったところに位置していて、湖が上下にあり水面に差があるため、その落差を利用して水力発電がフィンランドで最初に入り、多くの電気を用いる企業が発展してできた街とのことです。



Finlaysonという有名なテキスタイルの企業もあります。私ども夫婦は非常に北欧風が好きで、自宅の家具も全て(実は私の寺岡の部屋の机もキャビネットも)北欧ビンテージなのです。ですので、北欧のデザインは非常に大好きなので、見るもの触るもの最高でした。アラビアという会社の陶器も素敵ですし、みなさんよくご存知のMarimekkoやJohanna Gullichsenなどがフィンランドを代表するデザイン会社です。建築も素晴らしいデザインで、ヘルシンキには大学の図書館、Alvar Aaltoがデザインしたアカデミア書店というのがあります。ちなみにFinland人は最も図書館利用率が高いそうです。それで図書館は素晴らしいデザインで作られています。



そして前回も紹介したラップランドにも参りましたが、すごく広い土地にすごく合理化したキャビンが建てられています。

そして電化です。水力発電で電気が最初から多く使われてきたので、電気自動車もものすごくたくさん走ってますし、家がオール電化というのも珍しくありません。当然現金を使う店も少なくお札出して買っているのはわたしどもだけで、トラムとか電車もwifiマークのついたクレジットカードかスマホ決済です。人口が少なく、国土も広いのでどうやってスマートな生活を維持できるのかと思ったら、要はIT化と電化で徹底的に合理化しているのです。それで例のキャビンもその他のホテルもほぼレセプションはなくて、自分での決済です。キャビンなどは暗証番号のついたボックスに一枚のカードキーが入っていて、それ一枚で家全体が管理できていました。ちなみにフィンランドには日本でも今超人気のサウナの発祥の地で、200万ほどサウナあるそうですが、こちらのキャビンはサウナさえ電気で2時間石を電気で熱すると入れるようになってました。素晴らしいです。



でもやはり古い、薪でもやすサウナが大好きな人も多く、それは旧式のストーブに薪を入れて燃やして4時間くらい石を熱してサウナを温めます。サウナは人生だそうです。薪の燃えるタイミングで匂いや、気温や、湿度が異なり、入る順番も誰が最初の入るか、熱く猛々しい最初は若い人、時間経って緩くなり、まろやかな空気になったら女性やお年寄り、、といった感じらしいです。

サウナ博物館という日本人にも人気のスポットがありJuhana先生が連れて行ってくれたのですが、smoke saunaという部屋の中でまきを燃やしてそのまま入るサウナがあるらしいです。その実演をしていたのですが、サウナ部屋ごと火事になってみんな周辺にいる人たちで消火作業をしていたのには驚きました。湖からバケツリレーで水を運んでかけてました。基本サウナ小屋は7年くらいで燃えてしまうもの、、という言い伝えがあり、母屋とは別に建てている家が多いのはそのためだとも。サウナはすっぽんぽんで入るのが慣わし(男女は別に)で、それでサウナ外交がよく国際交渉では使われるようです。サウナであったまって、湖に入る。これを数回繰り返す。白樺の葉っぱて背中を叩く。健康に良いそうです。木の香りが充満します。本当に「整いました」という気分になります。


もちろんフィンランドは森が国土の70% 湖や川が10%を占め、氷河の覆われていたところで、高い山はありません。標高1400mくらいが最高に高いらしいです。赤道から遠いので大陸プレートがぶつかることもなくスイスや日本のように高い山はできません。ものすごく綺麗な国土です。

そこでどうやってこの国を維持しているのか?移民は言葉がフィンランド語が中心なのでEUの国ともあまり人口移動はなくこちらはスイスとは正反対です。看護師さんは少し入ってきているようです。やはりkey wordは合理化なのでしょう。日本も今後100年後には人口が半分になるとお恐れられています。そして移民を増やそうとか、、色々な案があるようですが、日本の技術を持ってすればフィンランドよりもすごい合理化ができるようになるのではないかなと思います。そんなに人口を増やさなくても、江戸時代頃の人口(3000万人くらい)がちょうど良いのかもしれません。オール電化も重要です。ただインフラとして、中・四国の道は狭すぎるので、道幅をなんとかしないと、またはすごく小さい電気自動車をつくらないと行き来ができませんね。新市町向けの小さい電気救急車を考案しようかなどと考えています。

さて先ほどからの人生モヤモヤのお話ですが、Frösen先生、私どもの訪問の後、4週間夏季休暇の予定だそうです。4週間の休みをどうやって過ごすのかきいいたら、(日本で4週間休みがあってもすることないし、旅行行くにもお金がない)、自分も親戚も色々なところにサウナ付きのコテージを持っているので、1週間くらいずつ転々として遊んで、ゆっくりするとのこと。湖や川で釣りしたり(大きなパイクという魚が釣れて美味しいそうです)、Mooseやトナカイのハンティングなんかもするそうです。Mooseは10人がかりでハンティングをするのですが、獲れると1年間で食べきれないほどのお肉が取れるそうです。流石に今回Mooseのお肉は食べれませんでしたが(餌付けはしました)、トナカイはステーキをいただきました。牛肉と鹿肉の間みたいな美味しいお肉でした。ちなみにLaplandの地区ではトナカイを多くの地域で食肉用に放し飼いにしていました。例のcabinでも朝庭先をトナカイが草食べてました。

そのようなレジャーですのでお金はかからないし、リラックスできるとのこと。1年間6週間の休暇は必須で取らないと罰則があるらしく、みんな予定を合わせて休みを取るそうです。そういえばForsen教授は今年の1月に2週間ほど日本で我々の大学などを訪ねてくれました。冬はスキー(メインはクロスカントリー、オリンピック金メダリストが多くフィンランドから出ています)、息子さんはオリピックチーム入りを目指しているそうです。豊かな国で、特に職業にはこだわる必要はないとのこと。

ヨーロッパでは6週間の休みは当たり前。とのこと。さてモヤモヤの件ですが、考えてみれば、要は「メリハリ」でしょうか。

人生メリハリが大事。働くときは一生懸命身を粉にして働いて、リラックスするときはとことん楽しむ。

どうも私など、中途半端だったな〜〜と思うこの頃です。と1ヶ月近くもスイスとフィンランド行っていた者に言われたくないですね。。

 

料理のこと:

さて今月の料理は「カウボーイ料理」です。寺岡の脳神経外科の平野雄大君が脳血管内治療専門医試験に合格しましたので、寺岡会長、竹信部長と脳外科一同でシャンカワカーンという新市最北の神谷川の支流父尾川のダム湖のところにあるレストランで非常に大きなアメリカンスタイルのステーキを食べてきました。まず行くために金丸から先はほぼ(すれ違いの困難な)単線道路それも非常に狭い。時に茂みが車を擦ります。向こうから車が来ると行ったり来たりしてすれ違います。上の住民でしょうか?若い女性が運転する車(軽ではなく通常サイズ)とすれ違いました。こちらはバン型九人のりタクシーですのでさぞ困った表情かと思ったら、涼しい顔で、落ちるのではないかと思うほど路肩スレスレを通過して過ぎてゆきました。。すごい精神力の持ち主です、こちらのドライバーもすごいですが。この道を30分ほどビクビクしながら行くと店の看板があり、そこからがさらに狭く急な坂道です。

寺岡会長は昔この地区の小学校と先生が属していた新市の下の小学校で一緒に運動会をしていて、この地区の子は非常に足が速くて勝負にならなったなあ〜〜〜なんて思い出話をされていました。金栗四三みたいに日々の山道でのトレーニングが効いたのでしょうかね。さて料理は豪快。一番のおすすめは450gのT-ボーンステーキとか400gのショルダーステーキ(肩甲骨の上の肉のようです)です。肉は米国からの輸入ではなく中山牧場から取り寄せているとのことでお墨付き。すごく美味しいステーキで、親父さんの凄まじい生き様を聞きながら食事してきました。今度瀬戸内海の佐木島に移るようなことを言われてました。そっちも楽しみです。でもZOZO TOWNの昔の社長さんがその島に米国企業を入れて新しい宿泊施設を作っているとのこと。島の雰囲気が変わってしまうかもしれませんね。

 

中国地方の人や文化や自然は奥深いですね。


ちなみに7月の高齢者健康医学センターの活動としては、日本医師会長の松本先生と面談して、我々の活動の趣旨をご説明し、今後のご指導を仰ぎました。また小野府中市長ともお会いして、地域の健康度を向上するためにどうするか?どうやって地域住民の運動習慣をつけるかというお話しをさせていただきました。