香川県病院事業管理者
槇野 博史
はじめに
寺岡記念病院では福山・新市・府中地区の高齢者の健康増進のために高齢者健康医学センターを立ち上げ、素戔嗚プロジェクトが始動しています。その牽引役は日本医科大学名誉教授の森田明夫先生ですが、私は本センターの顧問を拝命しております。森田センター長より、素戔嗚ブログに投稿するよう依頼があり、高齢者の私が実践しているウォーキングの一端を紹介したいと思います。
スローライフがやっと可能に
これまでは、「Time is Job.」 で、どこに行くにも最速に移動して仕事優先の生活をしていました。昨年3月に大学を退任してスローライフを楽しむ事ができるようになりました。自宅から職場までの歩行に加えて、昼休みにはウォーキングの時間が確保できるようになり、毎日1万歩が可能になりました。周囲を観察しながら歩いてみると、車で走っていた時には気づかなかった、新たな発見があり、楽しくなってきます。でかけた先でもウォーキングを楽しんでいますが、昨年最も印象的だった場所は、江戸城址の皇居内でした。
皇居一般参観
私は高校時代にアメリカン・フィールド・サービス(AFS)で1年間ペンシルベニア州に留学をしました。留学の最後に近隣のAFS生が集まって1週間のバス旅行がありました。その際に知り合ったベルギーからの留学生は、大の日本ファンで、9月から日本各地を旅行すると連絡がありました。
昨年1月に講書始の儀を陪聴した際に、皇居前に並んでいた人たちの事を思い出し、皇居参観を思いつきました。
桔梗門から参観
9時に整理券を貰い10時に集合して、桔梗門から入場しました(写真1)。桔梗門は慶長19年(1614年)に建てられましたが、その名前は江戸城を築城した太田道灌の家紋の桔梗紋に由来しているそうです。
窓明館で皇居の歴史や文化が紹介され、注意事項を含めたオリエンテーションがありました。日本語、英語、フランス語のガイドさんによるグループに分かれて出発しました。英語グループでゆっくり写真を撮っていたら、いつの間にか三番目のフランス語のグループに吸収されていました。
(写真1. 桔梗門)
窓明館を出て暫く行くと右手に富士見櫓が見えてきました。櫓の高さは約16メートルあります。どこからみても同じような形に見えることから「八方正面の櫓」とも呼ばれています。明暦3年(1657)の大火で天守閣が焼失した後は、天守閣の代わりとされた重要な建物です。将軍が富士山はもとより、秩父連山や筑波山、両国の花火を眺めたと言われています。
もう暫く行くと1月に参入した坂下門を内側から見ました。宮殿東庭では、長和殿中央のバルコニーの説明がありました。天皇誕生日や一般参賀の時に皇族方がお立ちになられる所です。
さらに進んで折り返し地点の正門鉄橋(二重橋)にやって来ました。実は私は、目の前の正門石橋(眼鏡橋)を二重橋と誤認していました。これまでは皇居前広場から正門石橋の向こうに正門鉄橋を眺めていましたが、今日は正門鉄橋から正門石橋の向こうに観光客が見え、いつもと逆で不思議な気分でした(写真2)。
(写真2.二重橋から、眼鏡橋と皇居広場の眺望)
「都会の高層建築の谷間に濠と石垣に囲まれた日本の伝統的なお城がある。喧騒を離れ、松の緑に囲まれ、ゆったりとしたウォーキングによりモダンと伝統の美の調和した現在の日本を体験できてわくわくした。」と友人が感想をくれました。坂道もある2km余りを1時間かけた江戸城址再発見のウォーキングでした。